来年からの電子帳簿保存法
自社の請求書対応や、受け取った請求書・領収書がT番号や消費税率の記載があるかの確認など、従来よりも事務量がかなり増加していると思います。
ここに加えて、来年1月からは電子帳簿保存法が本格的に施行されます。分かるようで分からない電子帳簿保存法、実は、3つの内容に分かれています。
(1)会計帳簿・書類のデータ保存(希望者のみ)
①内容・・・税法上保存が必要な会計帳簿や請求書等をパソコン等で作成した場合は、プリントアウトせずにデータのまま保存することができます。
②対象の帳簿・書類
・会計ソフトで作成した仕訳帳や総勘定元帳など
・パソコンで作成した見積書・請求書、納品書、領収書などを取引相手に紙で渡したときの控え
①内容・・・紙の領収書・請求書などは、その書類を紙で保存する代わりに、スマホやスキャナーで読み取った電子データで保存することができます。
②対象の書類
見積書、注文書、納品書、請求書、領収書など、取引相手から紙で受け取った書類など
③スキャナ保存のメリット
読み取った後の紙の書類を廃棄できるので、紙の書類のファイリング作業や保存スペースが不要になります。
④スキャナ保存の問題点
スキャナ保存は、単にPDF等で保存すればよいのではなく、タイムスタンプを付与する必要があるため、市販の電子帳簿保存法対応のソフトを導入する必要があります。
また、書類をスキャンにかけるまでの期間が、「2ヶ月+概ね7日間」と決められていて、数か月前の領収書が出てきても、後からスキャナ保存することはできません。
ここまでの「会計帳簿・書類のデータ保存」と「スキャナ保存」は、希望する事業者のみが検討すれば良い話で、義務ではありません。しかし、最後の「電子取引データ保存」は、来年1月以降義務化されるため、対応が必要となります。
①内容・・・請求書、領収書などを電子データでやり取りした場合には、紙ではなく、電子データで保存しなければなりません。
②対象のデータ
・データでやり取りしたものが対象。紙でやり取りしたものは紙で保存して構いません。
(例)請求書を郵送ではなく、メールで受け取った場合
⇒印刷して紙保管ではなく、PDFデータ等で保管
③保存の方法
・「日付・金額・取引先」で検索できるように保存
PDFの名前で検索できるようにしたり、Excel等で管理簿を作る必要があります。
・改ざん防止のための措置を取る必要あり
「改ざん防止のための事務処理規定を定めて守る」といったシステム費用をかけずに行う方法もあります。事務処理規定のサンプルは国税庁HPに掲載されています。
④検索機能の不要措置
2期前の売上高が5,000万円以下の事業者は、一定の要件を基に、検索機能が不要となります。