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戸籍に氏名のフリガナ記載へ

(1)概要

2023年6月2日、戸籍法の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、同月9日に公布されています。

 これまでは戸籍謄本に氏名のフリガナは記載されておらず、学校や行政などで、氏名の読み間違いが多く、本人確認がスムーズに行えないという問題がありました。また、近年ではいわゆる「キラキラネーム」(読み方が奇抜な名前)が増え、読み方が非常に多様化していることから、正確な把握が難しくなっていることも背景にあります。
この法律の改正により、
今後は戸籍にフリガナが記載されることとなります。

(2)「通知書」の発送

この改正法は、2025年5月26日に施行されました。
それに伴い、各市町村から順次、「戸籍に記載される振り仮名の通知書」が
戸籍の筆頭者宛に郵送されます。
(羽村市では7月18日に発送されています。)

(3)届出することができないフリガナ

氏名のフリガナについては「氏名として用いられる文字の読み方として
一般に認められているものでなければならない」との規律が設けられました。
これによりいわゆる「キラキラネーム」が認められない場合も出てくるかも知れません。
例えば、漢字の意味や読み方との関連性を全く認めることができない読み方
(例:太郎をジョージと読むなど)は認められなくなります。
お子さんの名前を付けるときは気を付けた方が良いですね。
紙の手形・小切手の利用廃止へ

(1)紙の手形・小切手は2026年度末まで

2027年3月末をもって、
紙の手形と小切手の利用が廃止されます。
すでに主要金融機関から、新規発行の停止や受付終了のスケジュールが発表されており、今後は紙の手形・小切手から電子決済への移行が避けられません。

(2)利用廃止のスケジュール

手形・小切手の利用廃止は以下のようなスケジュールで行われる予定です。
①2025年9月末
 金融機関での手形・小切手帳の発行受付が終了
②2026年9月末
 手形・小切手の最終振出期限
(これ以降の発行は決済できません)
③2027年3月末
 電子交換所の廃止
 手形・小切手の取立受付停止

紙の手形や小切手を取引に使っている会社は、決済方法の見直しなど、取引先との調整が今後必要になってきます。また、手形や小切手に限らず、インターネットバンキングや電子決済の普及など、電子化を取り入れることは避けて通れません。

AtoZと井澤事務所からのお知らせ

グループのHPをリニューアルしました。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。 

このたび、AtoZと井澤事務所のホームページをリニューアルいたしました。
今回のリニューアルでは、より見やすく、情報を探しやすいように
デザインや構成を一新しています。
また、スマートフォンからも快適にご利用いただけます。

こちら→ https://atoz-izawa.jp/

これからも、みなさまにとって役立つ情報を分かりやすくお届けできるよう
内容の充実を目指してまいります。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

←スマホはこちらのQRからどうぞ

令和7年分の路線価の公表

(1)路線価の公表

令和7年7月1日、国税庁から令和7年分の路線価が公表されました。
路線価とは、相続税や贈与税を計算する際の基準となる、土地1㎡あたりの評価額で、全国の主要道路ごとに定められています。
今年も都市部を中心に上昇が見られ、東京23区や名古屋・大阪の中心街では再開発やインバウンド需要などにより、前年よりも価格が上がった地域が目立ちます。一方で、地方圏では横ばい又は微減傾向の地域もあります。
全国で最も路線価が高かったのは、中央区銀座5丁目の「鳩居堂前」で、
1㎡あたり4,808万円です。
西多摩地区では、
福生駅東口広場通りで1㎡37万円が一番高くなっています。

(2)路線価と相続税の関係

相続税の計算では、不動産(土地)の評価額は
「路線価 × 面積 × 補正率」で算出されます。
(補正率は、土地の形や間口・奥行き、角地かどうかなどを考慮して決まります。)
たとえば、路線価が15万円/㎡で100㎡の土地の場合、補正率が1.00であれば、
相続税評価額は「15万円 × 100㎡ = 1,500万円」となります。
このように、路線価の変動によって、相続税の額も大きく左右されるため、毎年の確認が重要です。

(3)路線価はどうやって決まるのか?

路線価は、国税庁が毎年調査・算定して決定します。
以下の要素をもとに総合的に評価されています
・国土交通省が発表する地価公示価格や地価調査価格
・周辺の不動産取引の実勢価格
・土地の利用状況、地域の商業性・利便性
実勢価格の8割程度を目安に設定されるのが一般的です。
なお、取引が少ない地域などは「倍率方式」と呼ばれる別の評価方法が採用されています。
相続や贈与を予定している方は、お持ちの土地の最新路線価を必ず確認しておくことが大切です。
評価の誤りや見落としにより、過大な税額となるリスクもあります。
相続の生前対策など、いつでもお気軽にご相談ください。

預貯金等のオンライン照会

法令に基づく財産調査等を目的として、金融機関に対して行う預貯金等情報のオンライン照会を国税庁は令和3年10月から実施しています。(それまでは、書面申請、書面受取)オンライン化により、申請から取得までの時間が大幅に短縮され、照会件数も増加傾向にあります。
 オンライン照会が可能な金融機関は年々増加しており、さらにその対象も拡大の方向に進んでいます。
 
・令和3年 預貯金等オンライン照会の運用開始
・令和4年 生命保険会社への照会が開始
・令和6年 信用金庫向けの共同化スキーム提供開始
      (対象機関急増)
・令和7年 証券会社へのオンライン照会開始
今後さらに、クレジットカード会社や資金決済事業者(〇〇ペイなど)にも対象が広がる模様で、電子化、オンライン化の影響が広がってきています。

NEWSで一年を振り返り

今年最後のNEWSです。
今回は、この1年間で取り上げた記事を振り返ってみたいと思います。
☐納付書の事前送付の取りやめ
 e-Taxにより申告書を提出している法人については、納付書の事前送付が取りやめとなりました。
 現在は、消費税の中間についてのみ、紙の納付書が税務署より届いておりますが、将来的にはe-Taxや電子納税が主流になっていくでしょう。
☐定額減税
 6月から始まった定額減税。所得税3万円と住民税1万円が減税されます。給与計算や年末調整、そして事前の調整給付があったり、事務的にも非常に煩雑となり定額減税に振り回された半年間でした。
☐交際費に関する税制改正
 1人当たり5,000円以下の飲食代等については交際費から除外して法人税を計算することができましたが、令和6年度の税制改正により、この5,000円が1万円に引き上げられました。コロナ禍以前の水準に戻るとも思えず、中小企業の交際費の経費算入上限800万円を超えることもほとんどなく、あまり効果はないと思われます。
☐相続登記の義務化
 所有者不明土地の解消に向けて、令和6年4月1日から不動産(土地・建物)の相続登記が義務化されました。
将来的な相続に向けて、所有者名義の整備の関心が高まっています。
☐マイナンバー関連
 マイナンバーカードの保有率が8割近くと数年前と比べてかなり増加しました。
 12月より保険証のマイナンバーカード化も始まっています。
☐賃金のデジタル払い
 PayPayなどによる賃金のデジタル払いが可能になりました。
 給与明細のWeb化も増えてきています。
☐最低賃金の引き上げ、過去最大に
 東京都では1,113円から50円の引上額となっており、
 全国で一番高い1,163円となりました。
☐相続関係(相続時精算課税制度など)
 相続時の贈与加算の期間が3年から7年に変更となるととともに、
 相続時精算課税制度に110万の基礎控除が新設されました。
☐収受日付印の押なつが廃止へ
 来年1月以降の確定申告書の提出などでは、税務署での控え印の押印は廃止となります
2024年も残すところ、あと6日となりました。皆様にとってどんな1年だったでしょうか。先日発表された「今年の漢字」は「金」(キン・かね)でしたね。オリンピックイヤーに選ばれやすい漢字ですが、どちらかと言えば「裏金問題」や「闇バイト」、「物価高騰」などのマイナス面が目立ったのではないでしょうか。来年は穏やかな年になることを願うばかりです。

 井澤会計事務所・㈱AtoZ B・Sは、12/28(土)~1/5(日)までは冬季休暇となります。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

贈与税の課税方法

1.財産をもらったときの税金

親から子に現金を贈与するなど、
個人から財産をもらったときは、贈与税の課税対象となります。
贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの方法があります。
贈与を受けた方は贈与者ごとにそれぞれの課税方法を選択することができます。

2.暦年課税

1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた金額から基礎控除額110万円を引いた残額について、贈与税が課税されます。(10%~55%)
1年間の贈与金額が110万円以下なら、贈与税が課税されることはありません。1年間に複数人から贈与を受けた場合には、その合計額から基礎控除110万円を引いて課税対象か判定します。
例えば父親から100万円、母親から50万円の贈与受けた場合は、年間150万円の贈与を受けたこととなり、基礎控除額110万円を超えるため、贈与税の申告・納税が必要となります。

3.相続時精算課税

生前贈与の特例制度であり、父母や祖父母から18歳以上の直系卑属(子や孫)に贈与をした場合に、基礎控除額110万と特別控除額2,500万を贈与額から控除し、残額に20%の贈与税が課税されます。
贈与者が亡くなった場合に、相続税の計算上、その贈与財産を相続財産に合算し相続税を計算します。
また、一度この相続時精算課税を選択すると、その後、同じ贈与からの贈与について「暦年課税」へ変更することができません。
このように、「暦年課税」と「相続時精算課税」という2つの方法があります。「暦年課税」については110万以下の贈与であれば申告する必要はありませんが、「相続時精算課税」は選択届出書の提出と、贈与があった年分の贈与税の申告が必要となります。
 「相続時精算課税」は、1年で多額の贈与する場合には有効ですが、将来的には相続税の計算上足し戻す必要がありますので、贈与税の申告書の控えは、相続発生時まで長期間にわたって保管することが必要です。
 毎年の暦年課税か、それとも相続時精算課税か。贈与税率や将来的に見込まれる相続税率など、多面的に検討をして有利な方法を選択しましょう。

◆ 中小企業向け賃上げ促進税制

2024年度の税制改正により、
中小企業向けの賃上げ促進税制が拡充されました。
(1)賃上げ要件
 給与等の支給額が前年度より1.5%以上増加
(2)税額控除額
 給与等支給額の増加額×税額控除率(15%又は30%)
 前年と比較して給与額が増加した場合に税額控除を受けることができます。(役員や役員の親族等は対象外)
 教育訓練費や子育て両立・女性活躍支援で上乗せ要件もありますので積極的に活用していきましょう。

令和6年の年末調整

1.年調減税事務

11月に入り年末調整の用紙を従業員に配布する時期になりました。
令和6年の年末調整は昨年までと違い、定額減税の処理が必要となります。これを「年調減税事務」と言います。
年調減税事務では年調減税額を計算し、年間の所得税を計算します。
年調減税額とは年末調整時点の定額減税の額で「本人3万円と扶養家族1人につき3万円」の合計額です。

2.年調減税事務の対象者

年調減税事務の対象者となる要件は下記の通りです。
 (1)年末調整の対象者
 (2)合計所得金額(給与所得以外の所得も含む)が1,805万円以下になると見込まれる

2ヶ所給与など所得税を乙欄で計算している場合以外は、ほとんどの従業員は年調減税事務の対象となると思います。
なお、月次減税事務では、1,805万円超の所得者も対象となり定額減税を行っていましたが、年末調整では対象外となります。

3.扶養家族

年調減税事務においては、
配偶者や扶養親族の分も本人が定額減税を受けることとなります。

対象となる配偶者・扶養親族は
 (1)日本国内に住んでいる
 (2)本人と生計を一にしている
 (3)合計所得金額が48万円以下になると見込まれる人
(青色事業専従者等を除く)

給与所得のみの場合は、年収103万円以下
給与収入103万円 -給与所得控除55万円=48万円

4.年末調整に係る定額減税のための申告書

令和6年分の年末調整の用紙(基・配・所)では、定額減税に関するチェック箇所が2つ増えました。

(1)給与所得者の基礎控除申告書「基・配・所」の年調用紙の左側の部分です。
 ここは本人の所得を計算し、それによって「基礎控除の額」と「本人が定額減税の対象か」を申告する欄です。
 所得が1,805万円以下になった場合は、「本人定額減税対象」に☑を入れましょう。
(2)給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書
 ここは、配偶者の所得を計算する欄です。
所得の金額によって「配偶者控除」か「配偶者特別控除」となるか、また、配偶者の所得が48万円以下の場合には配偶者を扶養親族として従業員本人の定額減税の対象となります。この場合には「配偶者定額減税対象」に☑を入れましょう。

このように、今回の年末調整は定額減税の対象者かの確認が必要であり、配偶者の所得確認が特に重要となりますので、ご注意ください。

登記簿謄本見ていますか?

1.休眠会社等の整理作業(みなし解散)

令和6年10月10日に、12年以上登記がされていない株式会社及び5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人に対して、法務大臣による官報公告が行われ、同日付けで管轄登記所から通知書の発送が行われました。
 令和6年12月10日までに必要な登記申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない場合には、会社が解散したものとみなされ、職権で解散登記が行われます。

2.役員の任期

株式会社で12年以上、一般社団法人等で5年以上登記が入らないと解散とみなされるのは、役員の任期が関係しています。
 株式会社の取締役は、会社法上、任期が最長10年と定められています。(一般社団法人等の理事の任期は2年)任期満了の場合には、同じ人が取締役を続ける場合であっても、役員登記(重任登記)が必要となります。
 このため、株式会社では少なくとも10年に1回は登記申請をする必要があり、12年以上登記が行われていない株式会社は、実質的に稼働していない休眠会社として解散の登記がされるわけです。

3.登記簿謄本の確認

取締役の任期については、法務局から登記のお知らせが来ることはありません。会社自身で任期を確認し、適切な時期に登記申請を行う必要があります。
 そのためには、会社の登記簿謄本(全部事項証明書)を年に1回は確認した方がよいでしょう。取締役の登記の時期以外にも、住所変更や目的追加など、記載事項に変更がないか確認できる体制を整えましょう。

4.有限会社や合同会社の場合

有限会社や合同会社の役員には、任期の定めがありません。そのため、役員が変わらない限りは、株式会社のように株主総会で再任の決議をしたり、また、役員変更登記をする必要はありません。

 このように会社の登記簿謄本は、普段あまり確認することもないかも知れませんが、登記申請が大幅に遅れた場合に裁判所から過料(罰金)が課される場合がありますのでご注意ください。

ふるさと納税と定額減税

10月もあと1週間となり、月が替われば令和6年もあと2ヶ月です。
 令和6年は定額減税が実施されていて所得税や住民税が減額されています。減税されているので、ふるさと納税をできる限度額も下がるのではと思うかも知れませんが、定額減税は、ふるさと納税に影響はありません。これは、ふるさと納税の寄付金控除が先に処理されて、引ききれなかった定額減税額は、給付されることとなるからです。
 ただし、所得による寄附限度額はありますので、控除額シミュレーションはお忘れなく。

最低賃金の引き上げ、過去最大に

1.概要

2024年度の地域別最低賃金が改定され、10月1日以降、各都道府県にて適用が始まっています。東京都は1,113円から50円の引上額となっており、全国で一番高い1,163円となりました。
最も引上額が大きかったのは徳島県で、896円から980円と84円もの引上額となっています。昨年ワースト2位だった徳島県が今回の改定で27位となり、四国4県の中で最も高くなりました。(なお、徳島県の最低賃金の改定は11月1日からです。)

2.最低賃金制度とは?

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
 仮に最低賃金より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
 もし、使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはいけません。また、最低賃金法に罰則の規定(50万円以下の罰金)が定められています。

3.最低賃金の対象となる賃金は?

労働者に支払われる賃金のうち、最低賃金の対象となるものは、毎月支払われる基本的な賃金です。残業代やボーナスは含まれません。
 
【最低賃金の対象とならない賃金】
 (1)臨時に支払われる賃金・手当
 (2)賞与
 (3)時間外割増賃金
 (4)休日割増賃金
 (5)深夜割増賃金
 (6)精皆勤手当、通勤手当、家族手当

 10月以降の給与計算や、募集広告に記載する時給金額など、改定後の最低賃金を下回ることがないようにご注意ください。

自転車の危険運転の罰則強化

道路交通法が改正され、2024年11月1日より「自転車」の危険な運転に新しく罰則が整備されることになりました。

(1)運転中のながらスマホ
 スマートフォンなどを手で保持して、自転車に乗りながら通話する行為、画面を注視する行為が禁止され、罰則の対象となりました.
  違反者⇒6月以下の懲役又は10万円以下の罰金
(2)酒気帯び運転および、ほう助
 自転車の酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対して新たに罰則が整備されました。 違反者⇒3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  ご自身もそうですが、自転車通勤の従業員がいる場合には、違反がないように注意を促しましょう。

マイナ保険証への切り替え

1.概要

健康保険証の廃止を定めるマイナンバー法等の改正法について、施行期日を令和6年12月2日とする施行期日政令が公布されました。
これにより、現行の健康保険証の発行については、令和6年12月2日より終了し、マイナンバーカードでの保険証利用を基本とする仕組みに移行します。

2.今後(12月2日以降)の健康保険証

(1) 今持っている健康保険証
  経過措置として来年(2025年)の12月1日まで使用できます。

(2) マイナ保険証
 12月2日以降に入社して従業員の健康保険証は従来の保険証ではなく、マイナ保険証となります。

3.「資格情報のお知らせ」の発行

健康保険証の廃止に伴い、事前に協会けんぽや健康保険組合から会社宛てに被保険者(従業員)・被扶養者(従業員の家族)全員分の「資格情報のお知らせ」が送付されます。協会けんぽからは9月以降に発送予定です。(6月中旬以降に入社された方の分は来年1~2月)
マイナンバーカードには従来の保険証に記載されている記号・番号や資格取得年月日などの情報が記載されていません。このため、健康保険証廃止後の給付金申請時の使用などを目的に、すべての加入者(被保険者・被扶養者)に対して個人単位で発行されます。
従業員+家族分がそれぞれ個別に封書に入れられ、封筒又は箱で送られてきます。届き次第、家族分も含めて従業員へ配布しましょう。
 この「資格情報のお知らせ」は、給付金の申請のほか、マイナ保険証の読み取り機を導入していない病院等でもマイナ保険証と併せて提示することで受診できます。
 大事な書類ですので大切に保管しましょう。

4.マイナ保険証を持っていない場合

マイナンバーカードを持っていない、又は、マイナ保険証登録をしていない方は、けんぽから交付される「資格確認書」を提示すれば、これまで通り保険診療を受けることができます。

(1)新規加入者
 2024年12月2日以降に入社したマイナ保険証を持っていない従業員は、資格取得届提出時に「資格確認書」の発行申請を同時に行った場合に、「資格確認書」がけんぽから発行されます。
 
(2)既存加入者
 現状の健康保険証を持っている従業員は、2025年12月1日までは従来の健康保険証も使えます。そのため、このような既存の加入者に対しては「資格確認書」は2025年12月2日以降に保険者(けんぽ)が必要と判断した場合にのみ発行されます。
 全員に配布される「資格情報のお知らせ」と必要な人のみが申請できる「資格確認書」は別のものとなりますのでご注意ください。

賃金のデジタル払いの業者指定

1.概要

令和6年8月9日に、PayPay株式会社に対し、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号の規定に基づき、賃金のデジタル払いの資金移動業者としての厚生労働大臣の指定が行われました。
PayPay株式会社のプレスリリースによると8月14日よりソフトバンクグループ各社の従業員を対象に「PayPay給与受取」のサービス提供を開始し、また年内にはすべてのユーザーを対象にサービスの提供を始める予定と発表されています。
これにより、これまで金融機関口座への振込が主流だった給与振込に新たな支払方法が生まれました。

2.デジタル払いの特徴

(1) 銀行口座へ送金可能(月1回手数料無料)
デジタル払いされた賃金は、月1回手数料無料で銀行口座へ送金することが可能です。これは、労働基準法上、賃金は通貨払いが原則となっているためです。

(2) 第三者保証機関による保証
PayPayのようなデジタル払いを行う資金決済業者が破綻した場合には、保証機関(保険会社等)により速やかに弁済されることとなっています。

(3) 上限額を超過の場合、自動送金(手数料無料)
PayPay給与受取においては、20万円までしか給与残高として受け入れられず、それ以上の給与振込額は指定した金融機関の口座に振り込まれます。

3.労使協定が必要

労働基準法上、賃金の支払いについては、「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定されています。ここでいう「通貨」とは「現金」のこととなります。
 現金払いの例外として、これまでは「銀行口座」と「証券総合口座」への支払が認められていました(労働者の同意がある場合)。今回、これに「指定資金移動業者の口座」が追加されたということです。
 もちろん、労働者からの同意が必要であり、会社側からデジタル払いを強制されることはありません。

4.キャッシュレス決済の推移

賃金のデジタル払いがどれくらいの期間をかけて、どれくらいのスピードで広まっていくかは分かりませんが、電子化やキャッシュレス化は年々進んできています。
 経済産業省のデータによると、2010年に13.2%だったキャッシュレス決済比率(決済額)は、Pay払いが始まった2018年には24.1%、そして、2023年には39.3%と堅調な推移を見せ、「2025年までに4割程度にする」という政府目標をほぼ前倒しで達成している状況です。
 キャッシュレス決済で一番割合を占めているのはクレジットカード(決済額で83.5%/2023年)です。交通系ICなどの電子マネーの割合がここ数年ほぼ横ばいのなか、Pay払いなどのコード決済の割合が年々上昇しています。
飲食店やパーキングなど、キャッシュレスオンリー(現金使用不可)のところも目にすることが増え、キャッシュレス決済への対応が不可避な世の中がもう目の前です。