所得税の確定申告
1.確定申告の受付開始
2月16日から令和5年分の所得税確定申告の受付が開始されます。申告・納付期限は3月15日(金)までとなります。不動産所得や事業所得がある方はもちろんのこと、2ヶ所から給与の支給を受けている場合や、医療費控除やふるさと納税の寄付金控除を受ける場合も確定申告が必要となります。
2.所得税の還付申告
医療費控除や寄附金控除を受ける場合の還付申告は、2月16日を待たずに既に受付が開始されています。
税務署が込み合う前に申告した方が還付金の戻りが早いので、お早めに申告することをお勧めします。
3.住宅ローン控除
住宅ローンを利用して住宅を新築した又は住宅を購入した場合は、住宅ローン控除を受けることができます。
初年度は税務署での確定申告が必要となります。(2年目以降は年末調整で控除を受けることが可能)
また、住宅ローン控除の申告を忘れていた場合でも過去5年分については遡って還付申告をすることができますので確定申告を忘れていたとしても諦めてはいけません。
4.年末調整で控除しなかった保険料等
会社勤めの方は、毎年12月に会社で年末調整を受けて所得税の精算を行います。
しかし、年末調整に入れ忘れてしまった保険料などがある場合には、確定申告をすることで所得税の還付を受けられ、また、住民税も安くなります。
会社で社会保険に加入している方でも、国民健康保険や介護保険料を支払っている場合や、お子さんの国民年金を支払っている場合も控除ができますので、入れ忘れがないか今一度確認していただければと思います。
5.ふるさと納税(ワンストップ特例)の注意点
会社で年末調整を受けた方は、ワンストップ特例を利用すれば、確定申告をしなくても、ふるさと納税の控除を受けることができます。
※ワンストップ特例
1年間の寄付先が5自治体以内で、ワンストップ特例申請書を提出している場合には、確定申告をしなくても寄附金の控除が受けられる制度。ただし、医療費控除などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請書を提出していても、確定申告で寄付金控除を申請する必要がありますので注意してください。
税務署へ申告書を提出する場合、提出用と控え用の2部を用意して、収受印が押印された控え用を受け取りますが、来年の1月から、この控え用の収受印が押されなくなります。
国税庁は「ご自身で提出年月日の記録・管理をお願いいたします」と言っており、納税者としては非常に困った状況になります。とにかく電子申告や電子化を進めようと外堀を埋めてきていますね。
2月のこよみ
□法人税中間納付期限
6月決算法人・・・2月末
(前期の法人税20万超の場合)
□消費税の中間納付期限
3月決算・6月決算・9月決算法人・・・2月末
(前期分の消費税額によります)
1月のこよみ
1月の税務処理事項
□法人税中間納付期限
11月決算法人・・・1月末
(前期の法人税20万超の場合)
□消費税の中間納付期限
2月決算・5月決算・8月決算法人・・・1月末
(前期分の消費税額によります)
消費税の変遷など
今年は、消費税のインボイス制度という、消費税法の大改正が入りました。
日本では総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)が30%弱であり、今後の人口減少も含めると40年後にはその割合が40%近くまで増えることが見込まれています。
3%から始まり10%まで増税されましたが、年金受給者も含めた幅広い年齢層から徴収できる消費税は、将来的にはさらに税率が上がっていくことが予想されます。
(参考1)消費税率の変遷
1989年(平成元年) 消費税導入3%
1997年(平成9年) 消費税率5%に
2014年(平成26年) 消費税率8%に
2019年(令和元年) 消費税率10%に
2023年(令和5年) インボイス制度導入
一方、諸外国の消費税率(付加価値税)は以下のようになっています。
(参考2)諸外国の消費税率
デンマーク25% スウェーデン25% ノルウェー25% イタリア22%
ベルギー21% イギリス20% フランス20% ドイツ19%
ニュージーランド15% フィリピン12% インドネシア10%
中国13% 日本10% 韓国10% シンガポール8% 台湾5%
日本を含むアジア・オセアニア地域では10%前後である一方、ヨーロッパは概ね20%を超える税率です。消費税率が高い国では、生活必需品には軽減税率を設けいる場合も多く、また、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国では、消費税も含めた税金負担 が非常に高い反面、教育費や医療費が無料など福祉関連の保障が手厚くなっています。将来的に日本の消費税率が諸外国並みに上がっていった際に、どのように使われていくのか、税金の使途に注視していかなければなりません。
12月のこよみ
□法人税中間納付期限
11月決算法人・・・1月末
(前期の法人税20万超の場合)
□消費税の中間納付期限
2月決算・5月決算・8月決算法人・・・1月末
(前期分の消費税額によります)
===========================================
本年も大変お世話になりました。
井澤税理士事務所及び株式会社AtoZ B・Sは、
12月29日~1月3日までは冬季休暇となります。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
年末までにやるべきこと
令和5年も残すところ、あと1ヶ月ほどとなりました。
令和5年も残すところ、あと1ヶ月ほどとなりました。今年分の所得税や、将来の贈与税・相続税に関して無理なく節税できることがあれば、やり残しがないようあと1ヶ月の間に確認をしましょう。
1.年末調整
(1)配偶者控除、扶養控除の確認
会社は、年末調整の用紙に記載された扶養情報を基に令和5年分の所得税の計算を行います。扶養関係の記入に過不足がないか再確認しましょう。
なお、扶養親族が亡くなられた場合は、亡くなられた年までは扶養控除を受けることができます。年末調整の用紙には名前を記入し、かつ、備考として死亡した事実を記載するのが良いでしょう。
(2)住宅ローン控除
住宅ローン控除は、初年度は確定申告が必要になりますが、2年目以降は会社の年末調整で処理することができ、確定申告する必要はありません。
その際は、年末残高証明書と税務署から送られてきている住宅借入金等特別控除申告書(令和5年分)を、年末調整の用紙とともに会社に提出しましょう。
源泉徴収票が12月中にもらえる場合は、源泉徴収票を基に計算すると正確な寄附限度額を把握することができます。
3.小規模企業共済
個人事業主や、法人の役員は、小規模企業共済という共済制度に加入することができ(会社規模等の要件あり)、その共済掛金は支払った年に全額所得控除として控除を受けることができます。掛け金は月額千円から7万円までで、1年分前納することも可能です。今年分から加入を検討されている方は早急に手続きが必要です。
110万円(贈与税の基礎控除)を超える贈与を受けた場合には、贈与税がかかります。贈与税は暦年(1月~12月)単位で考えますので、今年分の贈与がまだの方は、いまからでも間に合います。
会社の株式の贈与を検討されている場合は、一度に多くの株式を贈与すると多額の贈与税がかかる可能性があります。毎年少しずつ移転させたい場合は、1年でも早く贈与を始める方が得策です。
5.相続時精算課税制度(生前贈与の特例)
多額の現金や株式を一度に贈与する場合は、通常の贈与では、多額の贈与税がかかります。相続人や孫への贈与ならば、「相続時精算課税制度」という生前贈与の特例が利用できます。この制度では、将来の相続時には再計算が必要となりますが(相続税の計算に含める)、贈与時には2,500万までは贈与税はかかりません。
また、来年からは改正により、「相続時精算課税制度」にも基礎控除110万が創設されるため、この制度の利用を検討される方が増えることが見込まれています。
年末までにというわけではありませんが、墓地や墓石、仏壇、仏具など、相続税の計算上非課税財産とされているものは、生前に購入しておいた方がその分現預金を少なくすることができ、相続税の負担が少なく済みます。
これ以外にも、生命保険金のうち相続人の数×500万円は非課税となりますので、相続税がかかることが見込まれる場合には検討することをお勧めします。
大掃除
今日は年末に向けて早くもSTAFF総出の大掃除。
窓からの陽射しもさわやかな秋晴れで、スッキリきれいに片付きました!
11月のこよみ
11月の税務処理事項
□法人税中間納付期限 3月決算法人・・・11月末
(前期の法人税20万超の場合)
□消費税の中間納付期限
3月決算・6月決算・9月決算法人・・・11月末
(前期分の消費税額によります)
来年からの電子帳簿保存法
自社の請求書対応や、受け取った請求書・領収書がT番号や消費税率の記載があるかの確認など、従来よりも事務量がかなり増加していると思います。
ここに加えて、来年1月からは電子帳簿保存法が本格的に施行されます。分かるようで分からない電子帳簿保存法、実は、3つの内容に分かれています。
(1)会計帳簿・書類のデータ保存(希望者のみ)
①内容・・・税法上保存が必要な会計帳簿や請求書等をパソコン等で作成した場合は、プリントアウトせずにデータのまま保存することができます。
②対象の帳簿・書類
・会計ソフトで作成した仕訳帳や総勘定元帳など
・パソコンで作成した見積書・請求書、納品書、領収書などを取引相手に紙で渡したときの控え
①内容・・・紙の領収書・請求書などは、その書類を紙で保存する代わりに、スマホやスキャナーで読み取った電子データで保存することができます。
②対象の書類
見積書、注文書、納品書、請求書、領収書など、取引相手から紙で受け取った書類など
③スキャナ保存のメリット
読み取った後の紙の書類を廃棄できるので、紙の書類のファイリング作業や保存スペースが不要になります。
④スキャナ保存の問題点
スキャナ保存は、単にPDF等で保存すればよいのではなく、タイムスタンプを付与する必要があるため、市販の電子帳簿保存法対応のソフトを導入する必要があります。
また、書類をスキャンにかけるまでの期間が、「2ヶ月+概ね7日間」と決められていて、数か月前の領収書が出てきても、後からスキャナ保存することはできません。
ここまでの「会計帳簿・書類のデータ保存」と「スキャナ保存」は、希望する事業者のみが検討すれば良い話で、義務ではありません。しかし、最後の「電子取引データ保存」は、来年1月以降義務化されるため、対応が必要となります。
①内容・・・請求書、領収書などを電子データでやり取りした場合には、紙ではなく、電子データで保存しなければなりません。
②対象のデータ
・データでやり取りしたものが対象。紙でやり取りしたものは紙で保存して構いません。
(例)請求書を郵送ではなく、メールで受け取った場合
⇒印刷して紙保管ではなく、PDFデータ等で保管
③保存の方法
・「日付・金額・取引先」で検索できるように保存
PDFの名前で検索できるようにしたり、Excel等で管理簿を作る必要があります。
・改ざん防止のための措置を取る必要あり
「改ざん防止のための事務処理規定を定めて守る」といったシステム費用をかけずに行う方法もあります。事務処理規定のサンプルは国税庁HPに掲載されています。
④検索機能の不要措置
2期前の売上高が5,000万円以下の事業者は、一定の要件を基に、検索機能が不要となります。
AI(人工知能)による税務相談
10月より、国税庁は、
税務相談チャットボット(ふたば)を開始しました。チャットボット(ふたば)では、個人の方の国税に関する相談について、AI(人工知能)により自動回答します。現在対応している相談内容は、令和5年分の年末調整、令和4年分の所得税・消費税の確定申告、そして、インボイス制度に関してです。なお、チャットボットは24時間利用可能で、メニューから選択して質問、文字で入力して質問、の2つの質問方法があります。現時点では、キーワードを入力するとそれに関連した項目が表示され、それを開くと回答が見られるというようなシステムとなっています。
現在のチャットボットは、キーワード検索のような状態であり、税務に関する基本的な項目や必要書類を調べるには効果的ですが、本当の意味でのAI(人工知能)にはまだまだ遠いように思えます。
年末調整はそこまで複雑な内容ではないためチャットボットで十分対応できますが、個人の確定申告など複雑な事情がからむ場合には、チャットボットを参考にしつつ、税務署行くか又は電話することで確認する必要もあるでしょう。なぜなら、あくまでチャットボットの回答は一般的な事項についての説明に限られ、確定申告などの手続きは、最終的には自己責任になってしまうからです。e-taxであったり、AIの活用であったり、国税のIT化の流れは今後さらに進んでいくことは間違いありません。便利なものは積極的に取り入れていき、その上で、適正な申告を効率よく進めていくことが求められています。
今月よりインボイス制度が開始
請求書や領収書など、T番号(インボイスの登録番号)の記載があるものが多く集まってきていると思います。様々な領収書の中でも、「接待交際費」に関する領収書が、インボイスに対応していないものが一番多く含まれるのではないかと予想されます。インボイスの有・無で、経理処理が変わってきますので下記項目について気を付けていきましょう。
(1) インボイス対応の領収書
T番号、消費税率、消費税額、少なくともこの3つが記載されていることを確認しましょう。手書きの領収書では、税率や消費税額が記載されていない場合もありますので、レジから出力するレシートで対応するお店が増えそうです。
(2)インボイスではない領収書
インボイスではない領収書の場合決算時に税務署に納税する消費税の負担が増えてしまいます。その負担を緩和する特例(8割特例)が3年間適用されます。この特例が適用されるためには、消費税率の記載は絶対に必要ですので、記載の有無の確認をするようにしましょう。